元・不登校児が語る”あの時救われた言葉”~岩井俊憲先生「自分を信じる勇気」出版記念講演会レポート

こんにちは。春木めぐみです。

今日は、不登校の子どもに向き合う方へ、関わり方のヒントをお届けしたい!

岩井俊憲先生の「自分を信じる勇気」出版記念講演会からの学びをお伝えします。

10代のためのアドラーの教え「自分を信じる勇気」/岩井俊憲著

「あなたはどうしたい?」父の言葉に救われた


元・不登校児、今はラジオディレクターとして活躍する林さん。

講演会の1部は、幼稚園の行しぶりにはじまる体験談からはじまりました。

林さんが本格的に学校へ行けなくなったのは4年生の頃。

  • 100点があたりまえ
  • がんばるのに疲れた
  • 朝はおなかが痛くなる → 休むとラク → ラクになる自分にバツ → バレるのが怖い

そんな日々を過ごしていたそうです。

私は、お話を聴きながら、長男が学校へ行けなくなった頃を思い出しました。


小5の2学期から「さみだれ登校」になり、友達から「ズル休みちゃうんか」と言われてからは、本格的に行けなくなった長男。

すでにアドラー心理学の講師をしていた私は、共感を意識していたのですが

1カ月経っても状況が変わらないとイライラが募るようになりました。

そして、林さんのご両親のように「どうしたいの?」と長男に聞いたのです。

長男は言葉に詰まり、ランドセルを背負ったまま、立ち尽くすだけ。何も言いませんでした。

きっと私の期待――「学校に行ってほしい」――を察していたのでしょう。


同じ「どうしたい?」という言葉でも、救いとして投げかけていらした林さんのご両親と、尋問になっていた私。

アドラー心理学を学んでいても追いつめてしまった後悔と、それでも精いっぱいやってきた自分へのねぎらいが、同時に胸にあふれました。

学校へ行けない子どもも苦しいだろうけど、子どもの気持ちを受けとめる親だって苦しい。

長男は今、高校3年生になりましたが、長期休み明けは、いまだに不安がよぎります。

「また行けなくならないだろうか」と。

だけど、同時にこんな想いもあります。

「行けなくなったところで、なんとかなる」と。

林さんのお話を聴きながら、不安のあとに信じなおせるようになってきた自分の成長も感じることができました。

▲講演された林さんと、同席した三男と

「これからどう関わるか」~子どもに関わる大人がもちたい視点

第二部は、アドラー心理学の第一人者・岩井俊憲先生のお話。


先生が伝えてくれたのは、原因探しではなく「これからどう関わるか」でした。

  • 不登校はもったいない
  • いじめはバカバカしい
  • 自死を思いつかない

こんな状態にするために、大人がどう関わるかを、考えていかなければいけない。

印象的だったのは「勇気くじき」と「勇気づけ」の境目です。

勇気くじき勇気づけ
怖れ勇気
劣等感対等感
不信と疑惑他者信頼
敵意共同体感覚

勇気をくじかれた子(大人も)は、問題行動として、周りに教えてくれることがあります。

いじめや、不登校もその一つ。

いじめてはいけない、不登校はダメだ、という視点ではなく

「勇気をくじかれているかもしれない」「勇気づけてほしいかもしれない」という視点を大人がもてると、子どもとの関係が変わってくるのではないでしょうか。

自分を信じる勇気を育むのは、「ダメ出し」ではなく「ヨイ出し」


もう一つ、岩井先生の言葉で心に残ったのは、「"ヨイ出し"を辞書にいれたい」ということです。

「ダメ出し」は、弱点や欠点を指摘する指導法として一般的だし、辞書にも載っています。

一方で、ダメ出しの逆である「ヨイ出し」は、まだ知られていません。

講演会で隣の方とワークをした際、ヨイ出しや勇気づけのような指導法は初めて聞かれたとのこと。

中学校の教員を長くされている方でした。

私が勇気づけリーダーになって10年ちょっと。ブログなどで発信してきたつもりになっていたけど、全然足りなかったのだと思い知らされました。

私の長男が不登校になった時、私が徹底したのは「ダメ出しゼロ」と「1日3つヨイ出し」。

至らない点はいっぱいあっただろうけど、それだけはやったと自信をもって言えます。

”自分を信じる勇気”を育むのは「ヨイ出し」。

大切なことを思い出す時間になりました。

▲恩師・岩井俊憲先生と。生まれた頃からご相談している三男と会っていただけたことも感動でした


第3部:質疑応答

最後は、参加者からの質問に、岩井先生、不登校支援の百瀬先生、そして林さんが答えてくれました。

  • 中1不登校、ゲームばかりで心配
  • 幼少期のトラウマは消える?
  • クラス替え後、怖い子への対応は?
  • 親から否定的なメッセージを受けた不登校の子への第三者の関わり方
  • 「不登校」に代わる言葉をつくるなら?

どの回答も「こうすれば正解」という単純な話ではなく、子ども一人ひとりの背景やペースを尊重する視点が根底にありました。


特に印象に残ったのは、百瀬先生の「親子関係が悪くなることを避けたい」という言葉。

百瀬先生は、教員を退職されてから長野で不登校親子の支援を精力的にされています。

百瀬先生が関わられた親子のエピソードをまとめた著書にも、ヒントがいっぱいありました。

▲リアルなエピソードに勇気をもらえます

▲百瀬先生(中央)、アドラー仲間のあさちゃん(右)

▲書籍販売コーナーも大盛況でした


「自分を信じる勇気」を聴き終えて

2学期、うちの子は学校へ行けるだろうか。

これから私は、どう関わればいいのだろうか

あの日の私のように、答えを探している保護者や支援者の方に聴いてほしい。

不登校の子への関わり方のヒントがつまった講演会でした。

不登校支援には、学校へ行けない成長途中の子どもを信じる勇気と、子どもに関わる自分を信じる勇気、どちらも必要です。

「自分を信じる勇気」は、10代の子にむけた内容だけど、私たち大人もはげまされる言葉がいっぱいでした。

👉 講演会アーカイブはこちらからお申込みできます
https://www.hgld.co.jp/plecture/view/1322

▲講演会前、名古屋駅でモーニング

講演会では、アドラー仲間に会えて、初心にかえれたことも、大収穫でした。名古屋のみなさん、ありがとうございました!

▲帰りは、ナゴヤドームを見学。野球好き三男の夏の思い出になりますように